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映画や演劇の感想ブログです。個人的な感想でおおよその資料で書くので、内容については責任持てません。


by spank02
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食堂かたつむり

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2010年  冨永まい監督

ストーリー

失恋のショックで声を失った倫子は、
子供の頃から馴染めなかった自由奔放な母・ルリコが暮らす田舎へ戻り、
小さな食堂を始める。
お客様は一日一組だけ。決まったメニューはない。
お客様との事前のやりとりからイメージを膨らませて作る倫子の料理は、
食べた人の人生に小さな奇跡を起こしていく。
そして、いつしか「食堂かたつむり」で食事をすると願いが叶うという噂が広まっていった。
そんなある日、倫子はルリコが末期のガンであることをルリコ自身から知らされる。
料理を通して倫子とルリコの距離が縮まろうとしていた…。

感想

最初劇場で予告を見たとき、また食べ物映画かよ!と思っていました。
「かもめ食堂」のヒットをきっかけに、何本同じ様な映画が作られた事か、、、

この映画を見るきっかけになったのは、「余貴美子月間」を自分で開催していて、
これは見ねば!と思ったのがきっかけでした。

余貴美子に食いついてたので、見始めは??監督誰?何か中島哲也っぽい?
ファンタジーな画面が続きます。

ちなみに監督さんは、富永まい、新人さんっぽい感じです。

正直見た時間帯が遅かったので、キリの良い時間で切り上げて寝ようと思っていたのですが、
気が付けば目が冴え、最後まで楽しく観ちゃいました。

まあ食べ物が嫌いな人って居ないですよね。

他の食べ物系と違ってそんなに美味しそうな絵作りという訳でもなく、
どちらかと言えば、料理でも作る人の気持ちや思いに、重点を置いてます。

やっぱり料理って、もてなしの心なんですよね。

映画を観てると自分がもてなされてる様な、気分で癒されます。
あと、食物に対する感謝の念と。

柴崎コウが劇中ずっと無言で目だけで演技してます。
凄い事です。

余貴美子ももちろん良かったけど、三浦友和も良かった。

余貴美子祭りの中で一番の秀作でしたよ。

★★★☆☆
# by spank02 | 2010-11-04 08:45 | 邦画

Dr.パルナサスの鏡

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2009年 テリー・ギリアム監督

ストーリー

2007年、ロンドン。パルナサス博士が率いる旅芸人の一座が街にやってきた。
世紀前に悪魔との賭けにより不死の命を手に入れたパルナサス博士は、
自分の娘を16歳の誕生日に悪魔に引き渡さねばならなくなり、苦悩していた。
彼は自身の率いる、他人の想像の世界を垣間見る鏡の見世物を巡り、
パーシーら古くからの仲間とともに興行を続けながら、
何とか悪魔との賭けに勝利する手立てを画策していた。
そんな折、博士はタロット占いの「吊られた男」のカードが示した、
橋の上から吊るされた若者トニーを死から救う。
助けられたトニーは商才を発揮して見世物を繁盛させ、
博士の助けとなるが、悪魔との賭けのタイムリミットは目前に迫っていた…。


感想

大好きな監督の一人テリーギリアム、ローズインタイドランドに次ぐ新作です。
思えば映画製作に呪われているよな不運続きの監督、
この作品でも撮影中にトニーを演じるヒース・レジャーが急逝、
撮影が中断し一時完成が危ぶまれたが、
彼と親交のあったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が
別世界にトリップしたトニーを演じることが決まり、撮影が再開された。

ストーリーは難解すぎて、一度見ただけでは理解出来ないほどです。
バロンの様な世界観と言うか、彼独特の面ぐるしく変わる
場面や世界はそれだけで圧巻です。

博士が悪魔との契約により娘を奪われるはずなのですが、何かにつけ
見逃してくれる?悪魔の優しさに少しほっとしたりします。

本当は親離れ子離れみたいな部分がベースにあって、
最後のシーンには心温まる映画です。

少し前に急逝された「今敏」監督のパプリカを観ました。
内容は全然違いますが、夢の中をさまようシーンは、
ある意味似ている部分があって、
実写で撮りきっているギリアム監督は本当に凄いなと思いました。

★★★☆☆
# by spank02 | 2010-10-07 13:01 | 洋画

空気人形

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2009年 是枝裕和監督

ストーリー

是枝裕和監督が『自虐の詩』の原作者・業田良家の短編漫画を映画化したラブファンタジー。
ファミレスで働く冴えない男が所有するダッチワイフが、ある朝、心を持った。
人形は町に出て、レンタルビデオ店で働き始める。

感想

板尾が一緒に暮らしてるダッチワイフが、心を持ったと言う設定なのですが、
ファンタジーに徹していて、思ったほど生々しい感じは少ない。

主演の ペ・ドゥナが素晴らしい人形っぽい演技がとても良くて、
惚れ惚れするほどです。

少しずつ心を持った彼女が変わっていく様が見事です。

最後は少し切ないラストですが、とても素敵に描かれています。

自分にとって周りの人との関係とは?
悪人でも強く感じましたが、色んな人と少しづつ関わる事で、
自分が構成されてるんですよね。

是枝監督は「誰も知らない」もとても良かったですね。

随分違いますが「マネキン 1987年 アメリカ」を思い出しました。
あちらはとても明るく話も大胆ですが、B級具合が似てますね。


★★☆☆☆
# by spank02 | 2010-10-01 22:35 | 邦画

悪人

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2010年 李相日監督

ストーリー

長崎の外れの小さな漁村に住む祐一(妻夫木)は出会い系サイトを通じて
佐賀在住の光代(深津)と出会う。
逢瀬を重ねる2人だったが、祐一は世間を騒がせている福岡の女性殺人事件の犯人だった……。

感想

初めてこの映画の予告編を観た時、妻夫木さんが主演とは気付きませんでした。
それほど、彼の表情が役に入り込み、気合を感じたのです。

後に「フラガール」の監督と知り、これは観ねば!と思っていたら、
「モントリオール国際映画祭最優秀女優賞」公開前にこれ以上の宣伝はありませんね。

深津絵里さんの登場は30分を過ぎてから、かなり遅い登場です。

田舎に暮らす裕一は車と出会い系にはまり、祖父母の世話と仕事の毎日。
その暗い表情と、無口な感じは凄く良い演技。
遊び回る石橋佳乃(満島ひかり)や増尾圭吾(岡田将生)とは対照的な生活です。

裕一は光代と出会い、お互い惹かれあう訳ですが、そのメインストーリーと同等に
殺害された両親や、育ての祖父母の苦悩も多く描かれていいます。

樹木希林と柄本明が鉄板で良い演技ですね!

自分が起こした行動で、周りの人への与える影響と言うか、
人は色々な人間関係の上に成り立っている。
自分一人の責任や思いだけで、行動しているように思っていますが、
その行動一つ一つに、複雑に他人と影響しあっている。

人と向き合うと言う事は、生きるその物だと思いますが、
日常の生活の中でもっと真剣に相手に向き合わなあかんなと、
ずっしり心に圧し掛かって来る作品でした。


「悪」は確かにあるのだけれど、悪人はどこにいるか?

凄くヘビーな映画だったけど、良い映画でした。

違う映画ですが「ヴァイブレータ」と言う映画があります。
寺島しのぶと大森南朋主演の作品です。
似たような内容ながら、こちらは2人の世界をドップリ掘り下げています。
見比べてみるのも面白いかも。

余談ですが増尾圭吾(岡田将生)がどうしようもなく嫌な役で、
これは以前観た「告白」でも同じ様に嫌な役でした。

これから彼を見る目が変わりそうです(笑)


★★★☆☆
# by spank02 | 2010-09-13 13:52 | 邦画

青春舞台2010

夏に高校野球があるように、演劇にも高等学校演劇大会があります。
インターハイみたいな物で、毎年開催地が変わり今年は宮崎でした。

丁度口蹄疫騒動と重なって、大会開催が危ぶまれましたが、なんとか無事行われたようです。
高等学校演劇大会で勝ち残った優秀高4校が、東京国立劇場で、あらためて上演されます。

その模様を放送している番組が「青春舞台2010」と言う番組です。

高校演劇は持ち時間1時間、立て込みなどの時間も厳しく制限されています。

普通の演劇よりは短めな上演時間と、高校生ならではの演技で、
とても観ていて初々しく、3年生はこれが最後だったりと、
二度とこのキャストでこの芝居は見れない感じは
高校野球の清々しさに通ずる物があります。

とは言え、毎年レベルが上がってまして、グッと引き込まれるようなお芝居が年々増えてます。

今年は

最優秀高

群馬県立前橋南高等学校 「黒塚 Sept.」

優秀高

島根県立三刀屋高等学校 「オニんぎょ」
愛媛県立川之江高等学校 「さよなら小宮くん」
青森県立弘前中央高等学校 「あゆみ」

と言う結果でした。

そな中で僕が一番気に入ったのは「あゆみ」でした

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内容

セットや小道具は一切無く、照明で区切られた舞台中央の空間だけで展開する作品。

よちよち歩きで「最初の一歩」を踏み出した赤ん坊の「あゆみ」は、
成長し、恋をし、結婚をして、子供が生まれ、やがて年老いて「最後の一歩」を印す。
一人の女性の一生を「歩く」ことで表現する。


感想

四角く区切られたスポットライトの中を、右から左に演者が歩きます。
一人の演者が左に見切れた瞬間、別の演者がその続きを担って右から左へ、、、
丁度映画の一コマづつ流れていく様な不思議な演出。

主人公「あゆみ」が左に見切れたと思うと、その続きを別の演者が「あゆみ」を演じながら
また右から左へ、話を進めていきます。

その斬新な演出ですが凄く綺麗に繋がっていて、歩く間や演技の細かな部分までもが
綿密に計算されてて、観ていてとても気持ちが良いです。

少し「あゆみ」の人生が平坦に感じましたが、最後の方で色々な思い出が
回想されるシーンでは、逆回転にフラッシュバックされるなど、見ていて寒気がするほどでした。
なんて事無いエピソードの切り取り方もとても秀逸です。



自分の高校時代を思い出しても、こんなに素敵な高校生活を送れた彼たちが
とても羨ましいです。

そんな甘ずっぱくなるような高校演劇、最高ですよ!

★★★★★
# by spank02 | 2010-09-06 01:50 | 演劇